郷里の文化財

北里博士別荘・洋館階段北里博士別荘・洋館出窓

新1000円札の顔「北里柴三郎」博士は、私の出身地「伊東温泉」にゆかりのある人物です。留学先で温泉が治療や療養に利用されていることを知り、伊東温泉に温泉プールを備えた別荘を建てたと言われています。1913年頃のことです。その温泉プールを近所の人たちに一般開放しただけでなく、私財でコンクリート製の橋を架けたり、鉄道の誘致にも尽力したことは最近知りました。

北里博士の別荘はその後、講談社創業者の野間清治氏の手に渡り、1948年には講談社によりこの地に野間自由幼稚園が開設されました。私と兄弟たちはここを卒園しました。

北里博士がつくったという温泉プールの記憶はありませんが、幼稚園と同じ敷地内には北里別荘時代からの洋館、和館、広い芝生の庭があり、運動会はこの芝生で開かれました。のびのびとした環境に恵まれた幼稚園だったと思います。

設計の仕事をするようになってから、幼稚園にあったあの建物が気になり、仲間を誘って、見学に行ったことがあります。在園していた頃には入ることを許されていなかった洋館、和館にはじめて入り、内部をゆっくり見せてもらいました。芝生とつながる和館の縁側や、浴室の見事な唐笠天井、洋館の内部のあらたまったしつらえなど魅力を感じる建物でした。2001年、園舎の建て替えとあわせてこれらの建物が取り壊されたことを、後になって知りとても残念に思ったものです。

この夏、約30年前になる見学の時の写真を書架から探し出し、伊東市文化財管理センターへ届けました。伊東にまだ残されている文化財を今後に生かしていくために、少しづつでも行動していきたいと思っています。  (村)

北里博士別荘・和館浴室天井

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