小田急百貨店閉店-変わる新宿西口

大階段のまわりで閉店を見守る人びと

10月2日、小田急百貨店新宿店は本館での55年間の営業を終了した。
閉店時刻の20時30分、小田急百貨店のシンボルである、駅コンコースから2階の百貨店入口をつなぐ大階段のまわりには多くの人が集まっていた。「セレモニーはありません」というアナウンスが何度も流れ、それでも帰っていく人はわずかで、時折起こる「ありがとう!」のコールと拍手。

ファサードに灯された、感謝を伝えるイルミネーション

多くの人に愛されてきた小田急百貨店の魅力の一つに、建築家坂倉順三氏の設計による建物があったことは間違いない。4つの鉄道路線(建設当時)、百貨店、超高層ビル街へと交差する人びとの多様な移動を可能にした、コンコースから西口ロータリーへ続く立体的な構成は見事で、通りがかると気持ちが浮き立った。金属パネルが連なる表情豊かで軽快なファサード、洗練された細部のデザイン、曲線が美しいラメラ構造の床梁。一つ一つが惜しまれる。

小田急百貨店は隣の小田急ハルクへ移転し営業を続ける。でもこの建物の中で営業を続けてほしかった。この再開発により、小田急百貨店本館とともに、人びとに親しまれてきた新宿駅西口の景観が失われる。形あるものはやがて失われていく。しかし地域を代表する景観を変えるのに55年は短かすぎるのではないですか? (村)

存在感のあるラメラ構造の床梁

12階から見下ろした西口ロータリー

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